Lecture 09 — Part 02 — 構造と戦略

第9回 XテックとDX企業のデジタル戦略

金融、教育、医療、農業、小売。あらゆる産業でデジタル技術が既存の仕組みをつくり変える「Xテック」が広がっています。企業がデジタル技術で何を変えようとしているのか、DX(デジタルトランスフォーメーション)の考え方を軸に、企業のデジタル戦略を検討します。

  • 担当:河合 勝彦
  • 11/23(月・祝) 2限 10:40–12:10・2-403
  • 祝日授業日(授業あり)
  • Teams投稿あり

01 — Goals

ねらい

この回を終えたときに、次のことができるようになることを目指します。

  1. 01代表的なXテックの領域と、それぞれが「何を置き換え、何を生み出したか」を説明できる。
  2. 02DXの定義と段階(デジタイゼーション → デジタライゼーション → DX)を区別して説明できる。
  3. 03DXを進めるうえでの技術面・組織面の課題を整理し、企業のデジタル戦略を評価する視点を持てる。

02 — Keywords

キーワード

講義で出てくる主な用語です。復習の際に、それぞれを自分の言葉で説明できるか確かめてください。

  • Xテック
  • FinTech
  • EdTech
  • HealthTech
  • AgriTech
  • RetailTech
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)
  • デジタイゼーション/デジタライゼーション
  • レガシーシステム
  • 2025年の崖
  • ビジネスモデル変革
  • サブスクリプション
  • データ駆動経営
  • DX人材・内製化

03 — Flow

講義の流れ

講義資料(ノート)は Teams に掲載します。ここでは各パートの要点を示します。

  1. Xテックの広がり

    FinTech(決済・送金・融資・資産運用)、EdTech、HealthTech、AgriTech、RetailTech、HRTech、LegalTech など。共通する要素はスマートフォン、クラウド、データ、API、AI。既存産業の「不便」がデジタルで解消される構図を見ます。

  2. DXとは何か

    デジタル技術によってビジネスモデルや組織を変革し、競争上の優位性を確立すること。紙をデータにする「デジタイゼーション」、プロセスをデジタル化する「デジタライゼーション」、ビジネスや組織そのものを変える「DX」の3段階を区別し、従来の「IT化」との違いを考えます。

    • デジタイゼーション:紙 → データ
    • デジタライゼーション:プロセスのデジタル化
    • DX:ビジネスモデル・組織の変革
  3. 日本企業のDXと「2025年の崖」

    経済産業省「DXレポート」(2018年)が指摘したレガシーシステムの問題、システムのブラックボックス化、IT人材の偏在。DX推進指標やデジタルガバナンス・コードといった政策の枠組み。DXが進む企業と進まない企業を分けるものは何か。

  4. 企業のデジタル戦略を評価する

    顧客体験、業務プロセス、ビジネスモデル(モノ売りからサブスクリプション・サービス化へ)、データ駆動の意思決定という4つの観点。組織・人材・企業文化の壁と、内製化・アジャイルな進め方。ある企業のデジタル戦略を「診る」ためのチェックリストをつくります。

    • 顧客体験は変わったか
    • 業務プロセスは変わったか
    • ビジネスモデルは変わったか
    • データにもとづく意思決定になっているか

04 — Think & Post

考えてみよう

この回の Teams 投稿のテーマです。授業への参加度として評価します。

Teams投稿のテーマ

Xテックは、何をデジタルに置き換え、何を新しく生み出したか?

関心のある業界の事例を、DXの段階論に当てはめて評価してみましょう。

  1. 関心のある業界のXテック事例(サービス・企業)を1つ選ぶ。
  2. 「置き換えたもの(従来の仕組み)」と「新しく生まれたもの(価値・体験・ビジネスモデル)」を整理する。
  3. それは「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「DX」のどの段階にあたるか、理由とともに書く。

大企業のDX事例でも、スタートアップのサービスでも構いません。情報源へのリンクを添えてください。

05 — Reading

読んでみよう

教科書は使用しません。参考文献は講義のなかで適宜紹介します。ここでは、関心に応じて手に取ってほしいものを挙げます(任意)。

  • 経済産業省「DXレポート 〜ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開〜」(2018年)日本のDX議論の出発点となった報告書。
  • 経済産業省「デジタルガバナンス・コード」経営者に求められるDXの取り組みを整理した指針。DX認定制度の基準にもなっている。
  • 総務省『情報通信白書』企業のDXの進捗や課題についての国内外比較データ。

06 — Review

復習のポイント

Teams のノートを見返しながら確認

  • 「IT化」と「DX」の違いを、段階論を使って説明できるか。
  • 「2025年の崖」とは何を指し、なぜ問題なのか説明できるか。
  • ある企業のデジタル戦略を評価するとき、どの観点を見るか3つ挙げられるか。