Lecture 08 — Part 02 — 構造と戦略

第8回 つながりネットワークがもたらす企業の変化

利用者が増えるほど価値が上がるサービス、少数の企業が市場を席巻するプラットフォーム、企業どうしの協業ネットワーク。「つながり」の構造が企業の競争と価値のつくり方をどう変えたのかを、ネットワークの理論で読み解きます。

  • 担当:河合 勝彦
  • 11/16(月) 2限 10:40–12:10・2-403
  • Teams投稿あり

01 — Goals

ねらい

この回を終えたときに、次のことができるようになることを目指します。

  1. 01ネットワーク効果(直接・間接)と、それがもたらす市場の特徴(勝者総取り、ロックイン)を説明できる。
  2. 02プラットフォームビジネスと両面市場のしくみを、具体例で説明できる。
  3. 03ネットワーク科学の基本概念(弱い紐帯、スモールワールド、スケールフリー)を、企業や組織の現象に当てはめて考えられる。

02 — Keywords

キーワード

講義で出てくる主な用語です。復習の際に、それぞれを自分の言葉で説明できるか確かめてください。

  • ネットワーク効果
  • 直接効果・間接効果
  • プラットフォーム
  • 両面市場
  • 勝者総取り
  • ロックイン・スイッチングコスト
  • 標準化
  • 弱い紐帯
  • スモールワールド
  • スケールフリー・ハブ
  • オープンイノベーション
  • 企業間ネットワーク・サプライチェーン

03 — Flow

講義の流れ

講義資料(ノート)は Teams に掲載します。ここでは各パートの要点を示します。

  1. ネットワーク効果

    電話・SNS・メッセージングアプリに見る直接ネットワーク効果と、OSとアプリ、決済と加盟店に見る間接ネットワーク効果。臨界点(クリティカルマス)を超えると何が起きるか。勝者総取り、ロックインとスイッチングコスト、標準化競争。

  2. プラットフォームと両面市場

    売り手と買い手、開発者と利用者のように、異なる2つの側を結びつけるプラットフォーム。どちら側に課金するかという価格構造、「鶏と卵」の問題、規模の経済との違い。プラットフォームの支配力と競争政策の論点。

  3. ネットワーク科学から見る「つながり」

    グラノヴェッターの「弱い紐帯の強さ」(転職の情報はどこから来るか)、スモールワールド(6次の隔たり)、スケールフリー・ネットワークとハブ。組織内の情報の流れ、口コミの拡散、感染症やシステム障害の連鎖といった現象に共通する構造。

    • 弱い紐帯:新しい情報は「たまにしか会わない人」から
    • スモールワールド:短い経路で誰にでもつながる
    • スケールフリー:少数のハブに接続が集中する
  4. 企業間ネットワークと価値創造

    サプライチェーンの相互依存と脆弱性、系列・提携・オープンイノベーション、産業をエコシステムとして捉える見方。企業の境界はどこにあるのかを問い直します。

04 — Think & Post

考えてみよう

この回の Teams 投稿のテーマです。授業への参加度として評価します。

Teams投稿のテーマ

利用者が増えるほど価値が上がるサービスは、なぜそうなるのか?

自分の利用体験から、ネットワーク効果とスイッチングコストを具体的に説明してみましょう。

  1. 自分が使っているサービスの中から「利用者が増えるほど自分にとっての価値が上がる」ものを1つ選ぶ。
  2. それが直接ネットワーク効果か間接ネットワーク効果か(あるいは両方か)を説明する。
  3. そのサービスから別のサービスに乗り換えにくい理由(スイッチングコスト)を1つ挙げる。

逆に「利用者が増えると価値が下がる」例(混雑など)に気づいたら、それも歓迎します。

05 — Reading

読んでみよう

教科書は使用しません。参考文献は講義のなかで適宜紹介します。ここでは、関心に応じて手に取ってほしいものを挙げます(任意)。

  • Shapiro, C., & Varian, H. R. (1999). Information Rules. Harvard Business School Press.(邦訳『「ネットワーク経済」の法則』)ネットワーク効果・ロックイン・標準化を扱った定番書。
  • Barabási, A.-L. (2002). Linked.(邦訳『新ネットワーク思考』NHK出版)スケールフリー・ネットワークとハブの考え方をやさしく解説。
  • Granovetter, M. S. (1973). The Strength of Weak Ties. American Journal of Sociology, 78(6), 1360–1380.「弱い紐帯の強さ」の原論文。

06 — Review

復習のポイント

Teams のノートを見返しながら確認

  • 直接ネットワーク効果と間接ネットワーク効果の違いを、例を挙げて説明できるか。
  • 両面市場で「どちら側に課金するか」が問題になる理由を説明できるか。
  • 「弱い紐帯」が情報の獲得に役立つのはなぜか、説明できるか。