AI Guide — 生成AIの使い方

AI利用ガイド

この授業での生成AIの使い方。
AIは「思考のパートナー」であり、代筆者ではありません。

使うAI

授業内の演習と提出物では、大学が提供する Copilot を使います。大学のアカウントでサインインしてください。大学のAI利用規程が、このページの内容より優先します。

基本の考え方

この授業が重視するのは、単にAIに代筆させることではなく、AIとの対話を通じて「問い」を深め、論理的な構成を構築し、批判的に出力を吟味するプロセスです。次の4つを守ってください。

  1. 問いは自分が持つ。テーマを決め、何を知りたいのかを言葉にするのは自分の仕事です。AIは視点を広げる相手として使います。
  2. 出力は素材であって完成品ではない。AIの出力をそのまま提出物に貼ることはしません。読み、検証し、自分の言葉で書き直します。
  3. 事実は一次資料で確かめる。数値、固有名詞、文献情報は、必ず元の資料(論文、統計、公式サイト)で確認します。
  4. 使ったことを隠さない。どこでどうAIを使ったかを記録し、提出物に明記します。AI活用の透明性は評価の対象です。

してよいこと、気をつけること、しないこと

してよいこと

  • テーマから問いの候補を出す(ブレスト)
  • 検索キーワードや関連分野の候補を挙げてもらう
  • 難しい文章の要約や言い換えを頼み、原文を読む手がかりにする
  • 自分の主張に対する反論や弱点を挙げてもらう
  • 構成案(アウトライン)を一緒に作る
  • 自分が書いた文章の誤字、表現、論理の飛躍を指摘してもらう
  • 企画やコンセプトの発想、ペルソナ設定、行動のシミュレーションなど、発想を広げる作業

気をつけること

  • 文献情報。 AIが挙げた論文や書籍は、実在しないことがあります。CiNii Research、Google Scholar、J-STAGE、図書館の蔵書検索などで必ず実在と内容を確認し、確認できないものは使いません。
  • 数値と統計。 出典を確認し、確認できない数値は使いません。
  • 個人情報と非公開情報。 他人の個人情報や、企業などの非公開の資料・データは入力しません。AIツールへ入力する際の注意は第8回で扱います。
  • 著作権。 論文や書籍の全文を入力する場合は、大学のAI利用規程と、その資料の利用条件を確認します。生成された画像やコピーは、既存の作品や商標に似ていないか確認します。

しないこと

  • AIの出力をそのまま、あるいは表現だけ変えて提出物にする
  • 実在を確認していない文献を引用する
  • AIを使った箇所を隠す、または記録しない

ハルシネーションへの備え

生成AIは、もっともらしいが誤った内容(ハルシネーション)を、自信のある口調で出力することがあります。第1回のAI演習では、AIの回答をどこまで信じてよいかを実際に検討し、第3回でそのしくみと限界を扱います。出力を使う前に、次を確認してください。

出力を使う前のチェック

  • 固有名詞(人名、組織名、書名、論文名)は実在するか
  • 数値には出典があるか。出典にあたって同じ数値か
  • 「〜と言われている」「一般に」など、根拠のない断定になっていないか
  • 反対の見解や例外はないか。「この主張に反する証拠は」と聞いたか
  • 自分で説明できるか。説明できない内容は使わない

AI活用記録の書き方

提出物には、次の形式で「AI活用記録」を添えてください。評価基準の「AI活用の透明性」はここで確認します。長くなくてかまいません。使っていない場合は「使用なし」と書きます。

AI活用記録(提出物に添付)

  • 使用したツールCopilot(大学提供)
  • 使用した場面例:問いの候補出し、検索キーワードの検討、要約、反論の生成、表現の推敲
  • 主なプロンプト実際に使った指示を1〜3個。長い場合は要点でよい
  • 出力をどう扱ったか採用した点、修正した点、採用しなかった点とその理由
  • 検証したこと事実、文献、数値を、何で確認したか

レポート本文でのAI利用の明記

本文の冒頭または末尾に、次のような一文を入れます。

本レポートの作成にあたり、問いの候補出しと構成案の検討に大学が提供する Copilot を使用した。出力はすべて筆者が一次資料に基づいて検証し、文章は筆者自身が執筆した。

AIの出力そのものを引用する必要がある場合は、「Copilot に『〜』と入力した際の出力(2026年10月7日)」のように、プロンプトと日付がわかる形で示します。

プロンプトの基本

AIとの対話の質は、指示の質で決まります。この授業では次の4つの要素を意識します。

プロンプトの4要素

  1. 役割AIに立ってほしい立場。「あなたは経営学を専門とする大学教員です」「あなたは厳しい査読者です」
  2. 目的と背景何のために、どんな状況で必要か。「経営情報の授業で、企業へのAI活用提案を作っています」
  3. 条件範囲、制約、避けてほしいこと。「日本国内の事例に限る」「文献名は挙げないでください」
  4. 出力の形式箇条書き、表、文字数、案の数。「300字以内」「10案を表で」

対話を深めるコツ

  • 一度で終わらせず、出力に対して「なぜ」「他には」「反対の立場だと」と続ける
  • 良い出力があっても、「この案の弱点は」と聞いてから採用する
  • 出力が抽象的なときは、具体例、数値、条件を追加して聞き直す
  • 自分の考えを先に書いてから、AIに批評させる。AIの案に引きずられない

各回のAI演習の内容は、講義予定に載せています。

復習教材

AIを使って「問いを立て、調べ、読み、磨く」流れを、一人で復習するための教材です。5つの単元を順に進めると、一つの問い(リサーチ・クエスチョン)が確定するまでをたどれます。各単元のワークシートと記入例は Teams で配布します。記入例は、自分で取り組んでから見比べてください。

復習1 AIのハルシネーションを確かめる

AIに文献と数値を挙げさせ、それが実在するかを自分で確かめます。もっともらしい誤りは「実在する資料名と、存在しない数値」のように、半分正しい形で出ることが多いと知るのが目的です。

  • AIが挙げた文献・数値を、CiNii Research、図書館の蔵書検索、官公庁の公式サイトで確かめる
  • 自分がよく知っている話題(アルバイト先の業界、出身地など)で尋ね、正誤を判定する
  • 気づいたことを、上の「出力を使う前のチェック」と照らして自分の言葉でまとめる

プロンプト例 — ハルシネーションを体験する

日本の中小企業における生成AIの導入状況について、参考文献を3つと具体的な数値を挙げて、300字で説明してください。

復習2 問いの立て方

「テーマ」を「問い」に変えます。AIに複数の視点から問いの候補を出させ、良い問いの3条件で採点して、自分が本当に知りたい問いを選びます。

  • テーマ(例:小売業のキャッシュレス決済)と問い(例:なぜ小規模な飲食店では導入が遅れているのか)の違いを押さえる
  • 良い問いの3条件:調べて答えられる/範囲が広すぎず狭すぎない/答える意義がある
  • 「それはどうやって調べるの?」に答えられるかを確かめ、仮の問いを1つ決める

プロンプト例 — 視点を広げる

私は大学生で、「(あなたのテーマ)」に関心があります。このテーマについて、経営戦略、組織、マーケティング、情報システム、経済、社会の6つの視点から、それぞれ2つずつ研究の問いを提案してください。各問いは「なぜ〜なのか」「〜は〜にどのように影響するのか」の形で、1行ずつ箇条書きにしてください。

復習3 先行研究の探し方

自分の問いについて、すでに何がわかっているかを調べます。AIには「どこを探すか」の見当をつけてもらい、文献そのものは学術データベースや公的統計で探して実在を確かめます。

  • AIで関連分野と検索キーワード(日本語と英語)を広げる。文献名は挙げさせない
  • CiNii Research、Google Scholar、J-STAGE、官公庁の白書・統計で探し、検索日と件数を記録する
  • 文献リストに必要な情報(著者、発行年、題名、掲載誌または出版社、巻号と頁、DOIまたはURL)を揃えて5件にする

プロンプト例 — 探す場所の見当をつける

次のリサーチ・クエスチョンに関連する学術分野と、文献検索に使うキーワードを日本語と英語でそれぞれ10個ずつ挙げてください。文献名や著者名は挙げないでください。問い:(あなたの問い)

復習4 文献を批判的に読む

入手した文献を1本、深く読みます。AIの要約は読む前の地図として使い、根拠は必ず原文で確かめます。読んだ後は、AIを議論の相手にして、主張の弱点やまだ明らかになっていないことを探します。

  • AIに「問い・方法・主な結果・限界」を要約させ、原文と照らして誤りや抜けを探す
  • 主張に対する最も強い反論をAIに挙げさせ、原文の根拠で答えられるかを検討する
  • 論文が答えていないことと、自分の問いとの隙間を書き出す

プロンプト例 — 構造をつかむ

次の論文について、「問い」「方法」「主な結果」「著者が認めている限界」をそれぞれ2文以内でまとめてください。書かれていない項目は「記載なし」としてください。(論文の要旨や該当部分を貼る)

復習5 問いを磨く

仮の問いをAIに厳しく批判させ、答えられるように磨いて確定します。すべての指摘を受け入れる必要はありません。根拠を示して反論できる点は反論し、修正した点は修正前と修正後を記録します。

  • AIを「厳しい査読者」にして、答えられるか・新しさ・範囲・用語の明確さの4つの観点から弱点を指摘させる
  • 指摘ごとに「補強する」か「問いを修正する」かを決め、その根拠を書く
  • 確定した問いを「問い・背景と意義・先行研究・調べ方の見通し」の1枚にまとめる

プロンプト例 — 査読者として批判させる

あなたは厳しい査読者です。次のリサーチ・クエスチョンについて、1. 数か月で調べて答えられるか 2. 先行研究に対する新しさがあるか 3. 範囲は適切か 4. 用語は明確か の観点から問題点を指摘し、それぞれ改善案を示してください。問い:(あなたの問い) 背景:(200字程度) 主な先行研究:(3件)

どの単元でも、AIを使ったらAI活用記録を書きます。各ワークシートの末尾に記録欄があります。

困ったとき

  • Copilot にサインインできない、動作がおかしいときは、授業中に担当教員に知らせてください。
  • AIの利用について判断に迷うときは、使う前に相談してください。使った場合は、必ず記録に書いてください。

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